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脇指
兼景
商品番号 : C-038-S-201
室町後期 美濃 保存刀剣 白鞘・拵付
売約済
刃長:31.0 cm 反り:0.7 cm 重ね:0.65 cm
- 体配
- 平造、庵棟、中心は生で孔は三つ、鑢目は檜垣。
- 地肌
- 板目肌をよく詰み少し肌立ち心に流れる。棟寄り・刃寄りは柾がかかり、地景が現れ、淡く白け移が出る。
- 刃文
- 匂出来の弯に大五の目乱、所々丁子風の足が所作する。匂口はふっくらとし足が揃い、金筋風の所作も出る。
- 鋩子
- 刃文がそのまま乱込み、尖り気味に深く返る。
- 備考
- 短刀と思いきや、1センチ上回って区分は脇指・・・使い勝手から見れば短刀の部類、いわゆる寸延び短刀です。時代は室町後期の末関、作者は兼景。室町期に美濃で作刀した刀工ですが、江戸期に入ると甲斐、但馬、美作あたりに分散したようです。本作は少し細身で優雅さがありますが、時代に相応した研減りがそう見せているのでしょう。それと先反の度合いも絶妙で、大段平の太刀をそのまま縮小したかの印象があります。う〜ん、しなやかで流麗な女性のようです。美濃らしくないってですか・・・それは多分に地肌のせいかもしれません。板目をよく詰んで明るく冴えた地肌がそう見せているのでしょう。惑わされてると言ったら本刀に失礼です。変えようもない生まれつきの地肌ですから。惑わされてるといえば、刃文がその通りかもしれません。まるで兼房のごとき大五の目乱ですが、これは刃取りであって実際の匂口は谷底が大きく膨らんだ五の目丁子、俗にいう兼房乱の横広版です。ただ、谷底が刃先のラインに沿って帯状になっているのがよく見る末関らしくもあります。刃取りで兼房に似せようとしたのは、研師の良心か悪意か、それとも出来心? まあ、化粧美人ということでいいじゃありませんか。化粧で化ける・・・いや失礼! 美しく見せる化粧美人、私は大好きです。
拵は見た目にはそれなりにの雰囲気を持っていますが、生粋の生ではありません。縁頭・小柄・笄は真鍮の松代金具、目貫は赤銅風の牡丹獅子、すべて幕末物です。小柄・笄は付け合わせでしょう。鞘自体も新しく(たぶん明治頃)、それに四分一風の鐺と責金を象嵌で施し、口金は真鍮。面白いのは返角と栗型で、波をモチーフにした四分一(銀?)の返角、栗型は真鍮の獅子の顔・・・どちらも立体的にもっこりと彫り上げ、まるで彫刻作品です。しかし、全てのアイテムが揃っていそうでバラバラ。似た素材・造で整理すると、縁頭・小柄・笄・栗型でワンセット、戸尻・責金・返角でワンセット、残りはその他モロモロとなるでしょうか。修理・補修した跡も見受けられます。でも実際、江戸期でも同じような体裁だったと思われます。なにせ、小道具一つにしてもそれなりに高かったでしょうから・・・補習と付け合わせの繰り返し・・・これが本来の姿ともいえます。

