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脇指 “うもれし”一振

脇指

濃州住田代角兵衛尉 兼信作

商品番号 : C-039-185

江戸前期 美濃 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:52.7 cm 反り:1.7 cm 重ね:0.76 cm

体配
本造、庵棟、中心は生で孔は三つ、鑢目は切。
地肌
板目に小板目交じり、棟寄り・刃寄りは柾目にな。総体によく詰み整った肌になり、移が出る。
刃文
小沸出来の五の目に丁子乱。匂口はふっくらと、肌目に沿って金筋、砂流風の所作が特に指裏に激しく出る。
鋩子
刃文がそのまま乱込み、一枚風となる。
備考
一見すれば末備前です。あるいは新々刀の石堂一派に見紛う本脇差。姿は片手打風、反があるあたりは寛永頃の姿にも見えます。刃文は五の目に丁子乱のやや締まり気味の匂口に柔らかく足が所作します。極めつけは刃文がそのまま乱れ込んだ鋩子。おまけに移もあります。ここまで揃うと、永正頃の備前物に極めたくなります。しかし本脇差の正体は寛文頃の美濃の新刀。そうなのかと片付ける前に、本脇差が美濃を示す点がチラホラとあります。刃寄り、特に棟寄りは激しい柾目がかかっています。金筋・砂流はその肌目に沿って現れているだけです。刃文には尖刄が所々に交じっています。しかしこれだけで新刀の美濃に極められるのは相当の目利か大先生・・・当店も含め、大概の方は見間違えます。刃文の丁子などは中河内の蛙子丁子風の形状も交じっていたり、鋩子の乱込みに移とくれば古刀なのか新々刀なのか、時代も国も流派もカオス状態に・・・なので、中心を確認して素直に正体を受け入れるしかありません。
本脇差の作者は寛文頃の二代・兼信。新刀期の美濃を代表する一派のようですが、現存するものは少なくあまり見聞きしません。初代も含めて本脇差のような造込でこれだけの出来なら、ずいぶんと化けてしまったでしょうね。本来は家伝である三本杉の五の目を焼くとされています。であれば、本脇差は写か注文打のいずれかです。俗銘を入れていることからすれば、注文打でしょうか。どちらにせよ、こだわった一振には違いありません。
しかし、この鋩子の乱込み、まいったなぁー・・・未熟な当店には手に余ります。

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