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脇指 “うもれし”一振

脇指

保堅秀一作 嘉永六年四月日

商品番号 : C-040-203

江戸後期 陸奥 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:37.7 cm 反:1.0 cm 元幅:3.08 cm 先幅:2.40 cm 重ね:0.68 cm 目釘孔:1つ

体配
菖蒲造(長巻直造)、庵棟、生中心、鑢目は化粧に浅い筋違。
地肌
小板目肌良く詰んで無地風となる。鎺元が僅かに肌立つ。鎬地・棟寄りは柾心。乱移が鮮明に立つ。
刃文
焼き幅広く匂出来の大小交じった五の目乱。匂口はふっくらと柔らかく、広く沸付き深く所作する。丁子風の小足、葉、飛焼かかる。
鋩子
五の目乱から小模様になり、掃き掛けて尖り気味にやや深く返る。

菖蒲造とも長巻直造とも思える棟を削いだ姿・・・なかなか魅力的です。中心が十分に長ければ薙刀としてもイケそうな小脇指です。状態はいたって健全で、それなりに身幅もありますが、新々刀にしては少しフクラが枯れた感じもします。しかし、却ってそれが刀姿をよく見せているようで、バランスのとれた粋な印象を受けます。(この辺の感覚は刀工のセンスに依るところが大きようで、特に減りのない現代刀は比較されがちです。)本刀が研がれて今の姿に落ち着いたのか、最初からこの姿だったのかはわかりませんが・・・

刃文は大人しい? いえ、刃取りだけから見れば弯れた緩い五の目乱、しかし光をかざして匂口を探すと・・・おお、激しい。五の目乱に丁子が交じったような何とも複雑な形状が展開しています。それにモヤモヤ〜っと雲が纏わり付いた様は、丁子や小足の違いがあるとはいえ肥前の播磨大掾忠国のようで見応え十分。刃中に沸付く匂出来の小沸は深くそして広く拡がって、菖蒲造の姿にうまく溶け込み似合っています。う〜ん、やるもんですね。と、感心しているところに、背景ともいえる移が冴え渡ります。はー、ここまでてんこ盛りにされれば、作者が誰なのかが気になるところ・・・保堅秀一? 名鑑を開くと陸奥は盛岡の宮川秀一は出てくるのですが、他には何もなし。九代・是一の門とあります。その前に舞鶴友秀の門人という説もあり、その説では後に八代・是一の門人になったとのこと。是一の門人としても八代なのか九代なのか?(どなたかご存知の方、ご教示願えると嬉しいです)。でも、匂出来で備前伝を思わせる丁子交じりの五の目乱、そして移が立っている事を考えれば、石堂派の門人で良いのかもしれません。・・・このままでは深い謎に嵌りそうなので、素性はあまり気にしないようにしましょう。幕末の有名でもない一刀工の作ですが、なんのその、見所が詰まった面白い一振、満足です。保堅秀一、みなさお見知り置きを。

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