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脇指 “うもれし”一振

脇指

南都住金房兵衛尉政次

商品番号 : C-041-S-202

室町後期 大和 保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:43.3 cm 反:1.1 cm 元幅:2.97 cm 先幅:2.22 cm 重ね:0.64 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目はやや深目の勝手下。
地肌
小板目肌良く詰んで、総体に柾心に流れる。鎬地、棟寄りは柾目になる。上半分に移風の所作が淡く出る。
刃文
焼幅やや広く、匂出来の小五の目乱に小乱交じる。匂口は締まり心に尖刄が交じり、金筋、砂流が肌目に沿って頻りに所作する。
鋩子
小模様に乱れ込んで火炎風となり、浅く返る。

姿体配はそのまま末古刀、利刀造の脇指です。長さからは小脇指の部類でしょうが、棟を薄くした利刀造にすると随分と印象が変わるようで、画像では伝わりませんが、手にすると軽快で洒落た姿に思えます。時代は姿、そして刃文の形状から天正頃かと思われ、二代・金房の作でしょう。金房というと数物の代表みたいに言われますが、中には備前の上出来に迫るものもあり、一概に評価はできません。とはいえ本脇指は上作ではありません。おまけに瑕も数カ所・・・指表の物打辺りにフクレが認められます。指裏の中より上の鎬地に鍛割の痕と、切先近くに小さな疵があります。これが戦乱真っ只中の戦国時代の刀の姿なのかもしれません。良く言えば実戦刀です。悪く言えば、身分のそんなに高くない武将の指物と言えるかも入れません。

肝心の出来はというと、表裏の刃文は大体揃っているとはいえ、赴くままに焼きましたという感じは歪めません。締まり心の匂口にムラっ気のある刃縁、決して上出来ではありませんが、働きは豊かです。肌目に沿った金筋・砂流風の所作が全体に渡って現れ、尖刃が交じり、葉、丁子の足も頻りに所作しています。上の方には乱移風の所作も立ち、末古刀然とした風合いを出しているところが見所かと・・・・金房の良いところ悪いところが混在したような一振。見方によりますが、本脇差が利刀造でなかったなら平高田に間違えそうな刃文? 越前にもありそうな・・・まあ、どのみち地方作ではあるのですが。ボロクソに書きましたが、実は本脇指、中原信夫氏が「刀剣と歴史 No.680」(日本刀剣保存会刊)の「うもれ草」の中で本脇差を取り上げ紹介しています。未読なので何を書かれているのかわかりませんが、興味のある方は確認してみてください。当店が嘘八白をならべて、過小評価しているかもしれませんので・・・。こんな本脇指ですが、それでも戦乱をくぐり抜け約450年を生き延びた傷だらけの強者です。どなたか愛蔵してくださる方が現れる事を願っています。(ちなみに、店主はサービス精神が旺盛らしいです。)

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