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脇指

脇指

豊後守金高

商品番号 : C-043-178

江戸初期 美濃 保存刀剣 白鞘

600,000円

刃長:36.8 cm 反:0.8 cm 元幅:3.15 cm 先幅:2.5 cm 重ね:0.65 cm 目釘孔:1つ

体配
片切刃造、三つ棟、生中心、鑢目は勝手下。指表に素剣、指裏に梵字に護摩箸を彫る。
地肌
板目が流れて柾目肌になり、杢目が交じる。肌目に沿って細かな地景が現れ、移状の所作が出る。
刃文
沸出来で焼幅やや狭く、弯交じりの浅い五の目乱。匂口は締り心で、ほつれて二重刃風の金筋、砂流の所作が出る。
鋩子
直調に入り表は中丸、裏は小丸となってやや深く返る。

片切刃というのは作るのがとても難しいと言われます。そうですよね、片側は広い鎬があってそこから急角度で刃先へ向かい、反対側は平造でなだらかに傾斜して刃に続くます。何が難しいかと言えば焼入でしょう。表裏の形状は違えど、同じような刃文の形そして匂口の所作にするには、鉄の性質を理解しコントロールしなければいけないのですから。ま、表裏全く違った刃文の刀もありますから、成るがままに刃文を入れるということもできます。その視点から見れば本脇指の刃文は極めてよくコントロールされて作られたと言って良いでしょう・・・表裏の刃文がほぼ揃っています。京風の焼出から始まり、弯交じりの開いた五の目乱で、頭と谷の高低する抑揚が同じように続いて見事です。異なる個所といえば鋩子の先の丸に少し差があるぐらいで、二重刃風になった金筋や砂流といった匂口の所作も表裏似た感じで現れています。加えて刃縁も冴えて叢沸もなく上出来です。
指裏のフォルムだけをみれば、先反のある平造の小脇指そのもの。ゆったりとした反が中心まで続く姿は流麗で魅力的です。その姿に素剣、梵字と護摩箸の彫がよく似合ってセンスの良い一振に仕上がっています。あまり研減っていないので彫の線もシャープで鮮明に残っており、健全度も極めて良好な状態(重ねの画像をご覧あれ・・・)。GOODです。

中々の魅力を備えた本脇指の作者は豊後守金高。美濃の刀工です。難しい片切刃なのに刃文も卒なくこなし、地肌も肌立ち気味ながら精美に鍛えています。板目が流れて柾目になるあたりは美濃らしく思えますが、決して粗い肌ではなく肌目に沿って地景となって映るぐらい詰んでおり、名前も片切刃という造も関係なく評価してよい一振と言えます。豊後守を拝した金高は初代と二代がいますが、二代は元禄頃の小刀鍛治とされています。片切刃は江戸前期に比較的に見られる造、自ずと本脇指は寛永頃の初代・金高と思われます。片切刃ということで稀少性もありますが、それを払拭する出来と健全度も併せ持った本脇指、片切刃ならぬ片想いを救ってくださる愛好家に巡り逢ってほしいものです。

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