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脇指 “うもれし”一振

脇指

濃州関住兼房作

商品番号 : C-044-S-210

室町後期 美濃 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:37.3 cm 反:0.7 cm 元幅:3.06 cm 先幅:2.25 cm 重ね:0.56 cm 目釘孔:2つ

体配
平造、庵棟、生中心、鑢目は檜垣。指裏に鎺元から中程まで腰樋を彫る。
地肌
板目に大板目が肌立ち心に、刃寄りは柾心に流れ、所々に杢目が交じる。
刃文
焼幅広く、小沸出来の五の目丁子乱。匂口はふっくらと深く、大小の飛焼が頻りにかかり、金筋、砂流が連なる五の目を跨いで所作する。
鋩子
五の目が乱込んで、先が尖り気味に深く返り、そのまま棟焼となって中程まで続く。

本脇指の五の目は兼房乱でしょうか。そうだとは言い切れませんが、丁子の先の形状、高低差のある五の目の山など兼房乱の特徴がまま出ています。それにしても賑やかです。大小の飛焼が至る所に現れ、特に中程より上に集中しています。加えて鋩子も激しく、深く返った鋩子がそのまま不揃いな棟焼となって刃長の半分ほどまで続き、まるで棟側にも五の目が焼かれている感じです。大乱の五の目丁子に飛焼、そして深く長い棟焼、もはや皆焼といってよいレベル。おまけに金筋、砂流のデコレーション付きです。激しい焼きの所作がお好きな愛刀家には、見所がてんこ盛りです。しかしどういう訳か見た目の当たりが柔らかいのは何故でしょう・・・たぶんに、匂口がふっくらとして刃縁が丸みを帯びて尖った厳つい線がないからかもしれません。棟焼きもそう、飛焼も同じような調子の印象です。
地肌も負けておらず、板目に大板目が肌立ち気味に浮き出て、所々杢目となり複雑な樹の年輪のようです。この鍛えにこの刃文有りといった感じです。その分、鍛割れも出ていて、指裏の鎺元より少し上と中程の棟側にあります。指表の切先寄りの刃中にも小さな疵が一つあります。(末古刀ですから、この程度の疵は許容範囲と思う当店が甘いのかもしれません。皆さんの評価は厳しいのを覚悟で紹介しています。) 

姿は先反のある平造の小脇指、少し研減っていて中程がちょっと弱く感じます。重ねは元々薄い造ですからかなり軽い感触です。ただ、切先あたりの減りは少なくそんなに伏せられてはいませんので、枯れたフクラとは言えないと思います。総体に時代相応の健全度ではないでしょうか。その時代ですが、本脇指の兼房の代別は正直わかりません。文明頃から天正頃までの兼房の誰かということしか言えません。気分的には兼房乱が出てくる永正、大永頃の兼房にしたいところですが、反問もそれなりに出てくること請け合いなしです。なのでここら辺で口を黙ます。

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