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脇指

脇指

備前國住長舩七兵衛尉祐定 万治三年二月日

商品番号 : C-045-196

江戸前期 備前 特別保存刀剣 白鞘・拵付

600,000円

刃長:43.5 cm 反:0.8 cm 元幅:3.05 cm 先幅:2.14 cm 重ね:0.77 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目はやや浅い勝手下。
地肌
小板目肌よく詰み無地風となる。鎬地、棟寄りは柾目に流れる。
刃文
焼幅やや狭く匂出来の中直刃。匂口は締り心で、ほつれ気味に二重刃風の所作が出る。
鋩子
直調に入り小丸が掃掛けて、浅く返る。

真面目なというのは少し的外れな言い方かもしれませんが、本造小脇指の基本をおさえた見本のような本脇指。焼幅のやや狭い中直刃ということもあり、古風な印象もあります。姿は元先に差があり反はある方なので、寛文よりは寛永頃の姿に近く、末備前の風合いを残した新刀といったところでしょうか。その名残は中心にも色濃く出ています。中心の形状は末備前の祐定そのもの、握った感触もふんわりと手に馴染み、尖った感じがありません。そうですよね、七兵衛尉祐定ですもの。末備前を受け継ぎ倣うのは必然です。それこそ家伝を守り、新しきを加味して時代に応えたからこそ新刀備前があるわけです。その類例の一つが本脇指のようなものだと思えます。
飾り気のないスマートな優等生に見えますが、重ねは厚くがっしりとした体配で見た目以上に重量感があります。その体配に焼かれた直刃は、新刀備前の特徴ともされる沸が少ない締った匂口の丁子とは違い、ほつれ気味に柔らかく働く直刃で、途中に二重刄風の所作や金筋らしき所作もあります。地肌も詰んで綺麗な無地風・・・帯状の匂口とはいかなくとも、細かいところを無視すれば肥前刀ですと言われても違和感があまり感じません。

ところで本脇指の年紀は万治三年。作者の七兵衛尉にしてみれば84歳の高齢です。江戸前期における84歳、作れますかね?・・・年齢を考えれば誰かの代作とみるのが普通です。やはり子の横山上野大掾祐定か門人かと考えたくなります。しかし寛文年紀の作も残されているようで、一概に否定することはできませんね。このあたりは日刀保の先生たちはどう解釈しているのか興味のあるところです。まあ、和泉守国貞(井上真改)みたいなことにはならないと思いますが・・・。

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