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脇指 “うもれし”一振

脇指

越前守藤原國次

商品番号 : C-049-U-214

江戸初期 山城 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:40.9 cm 反:0.9 cm 元幅:3.06 cm 先幅:2.02 cm 重ね:0.72 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目はやや浅い筋違。
地肌
小板目に板目交じり、少し肌立って柾心に流れる。鎬地・棟寄りと刃寄りは柾目になる。
刃文
焼幅やや広く直調の刃に小乱交じり。小沸出来の匂口はふっくらとして、刃寄りがほつれて二重刃、喰違刃がハッキリと現れ、金筋・砂流が所作し、尖刃もある。
鋩子
少し乱れて入り、やや掃き掛けて小丸となって深く返る。

これほどハッキリと喰違刃が認識できる作はあまりないのではないでしょうか。画像ではよく判らないかもしれませんが、直に灯りにかざしてみると、ことのほか鮮明に浮き出て来ます。特に指表の物打辺りは元側と先側両方向から食い込み、面白い景色を見せる個所もあります。指裏には二重刃風の個所もあり、総体に表裏とも縦の働が豊富に見られ、その躍動感が本脇指の見所となっています。刃取りを目で追うと直刃に見えますが、実際は直調というより小乱に近く単純ではありません。刃寄りの匂口はほつれて、二重刃のごとき金筋と砂流となって広がり、頻りに小足も働きます。大人しそうな刃文に思えますが、複雑で縦の所作が入り交じった景色となっているようです。ただ、その景色が美しいか華麗かと問われれば、決してそうではありません。メリハリのある賑やかさを求める方には響かないでしょう。一見普通に見えて、実は奇異な面白さが埋もれているマニアックさが好きな方に当てはまる一振。

本脇指の作者・國次は出羽大掾国路の子であるとか門人とか言われていますが、本脇指にそれが現れているのでしょうか。国路は一般的に地金がザングリとして肌立ち柾に流れる傾向があり、金筋、砂流がよく働くとされています(かなりアバウトな特徴)。そう言われると、本脇指も肌立って元の方はザングリとした地肌。刃寄りと棟寄りが柾目に流れて、金筋・砂流など縦の所作が豊富なところ・・・共通する特徴は確かにあります。でも、これらの特徴は一般的な傾向であって他の刀工にも見当たりますから、決めつけるのはよしましょう(門人であり、本当に子であっても、師匠と同様の作もあればそうでない作もあります)。ただ、国路との合作刀は有名で、なおかつ国路の代作をかなり担っていたとされています。であれば本脇指は、普段から体得した技を國次なりに作り上げた作例の一つかもしれません。

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