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脇指

脇指

大和守吉道

商品番号 : C-051-215

江戸前期 摂津 特別保存刀剣 白鞘・拵付

600,000円

刃長:32.1 cm 反:0.2 cm 元幅:2.95 cm 先幅:2.36 cm 重ね:0.64 cm 目釘孔:1つ

体配
平造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
小板目肌良く詰み無地風となり少し柾がかる。総体に精美な肌合いを見せる。
刃文
焼幅やや狭く、小沸出来でやや広めの中直刃。匂口は深くふっくらとして小足が盛んに所作し、刃縁は明るく冴える。
鋩子
直調に入り、先は尖心に掃き掛ける。返は深く表裏きれいに揃う。

大和守吉道による平造の脇指。登録証は脇指ですが、姿は寸延び短刀です。吉道の平造の寸延び短刀、しかも延宝頃ですから珍しい一振です。当店では経眼したことがありません。姿はやや先反気味で、焼幅もやや狭く直刃ということもあり古風に風合を見せています。吉道というと丹波守そして大和守も含めて、簾刃、激しい砂流といった派手な刃文が代名詞のように評されます。それに対し本刀のような直刃の出来はみなさんどう感じるのでしょうか・・・残念? らしくない? 魅力なし? とされるのは少し心外、せめて珍しさに喰いついてほしいと思います。ただ、本刀の刃文をじっくりと経眼したなら、その興味は倍増するかもしれません。

興味をそそるその見所は、匂口の現れ方でしょうか。まずはフックラとした小沸出来の広い中直刃(広直刃でも良さそうな厚み)がブレず破綻なく元から先へ流れます。それも鋩子の返まで同じ調子で続きます。その間、沸こぼれも叢も全くなく上出来です。ここまでなら「そうですか」と終わるところ、この刃文、これだけでは終わりません。太めの中直刃の外周にもう一つの刃文が平行にまとわりついているのです。こちらは匂心の中直刃に小足が盛んに所作する光景です。え?、どういうこと?・・・色々角度を変えて見ましたが、刃文が二重で一組になったような形・・・色合・輝き具合が異なる筋が束になった感じで見えるのです。仮に小足の所作するのが匂口だとすれば、広めの中直刃と思っていたのは刃取り? いえいえ、ちゃんと小沸が凝縮していのが確認できますから、刃取り部分が匂口と錯覚しているわけではありません。どちらも歴然とした匂口です。まるで連樋ならぬ連刃。考えられるとすれば、外側を構成する小足の出ている匂口は、長く途切れずに続く小沸の帯でしょうか。(いや、本来ならそれが匂口なのでは?)・・・もう説明するのが難しいので、興味のある方は見に来てください。もっとも、こういう刃文は普通にあることで、当店の知識が浅すぎるということもあります。
本刀の作者は大和守吉道ですが初代ではありません。やや太めの銘振(初代は細め)に大筋違風の鑢目(初代は深めの勝手下)からみて、二代でしょう。時代的に見て、平造の寸延び短刀そして刃文の形状から古刀の写と思われます。おそらく来写。激しい乱刃を得意とする吉道一派ですから、注文打の一振とみるのが自然です。それとも、本刀のような作風をやってみたかったのでしょうか。いずれにしても吉道の作中では珍品の類かもしれません。
付属する合口拵は黒漆に毛彫で雲龍を描き、その溝に金粉を蒔いた鞘。縁頭は鉄地に龍の彫、鐺は素銅ですが目貫は赤銅地の龍、小柄も赤銅七子地に倶利伽羅の据紋、もう龍尽くしにこだわった拵です。

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