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脇指

脇指

備州長舩盛光 応永三十二年八月日

商品番号 : C-054-S-173

室町初期 備前 特別保存刀剣 白鞘・拵付

1,600,000円

刃長:44.0 cm 反:1.0 cm 元幅:2.83 cm 先幅:2.00 cm 重ね:0.70 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は勝手下。表裏に棒樋に連樋を鎺元で丸留にする。
地肌
板目に小板目杢目も交じり、良く詰んで精美な肌合いをみせ、地景が現れる。鎺元より鮮明な棒移が出る。
刃文
匂出来の僅かに乱れが入る中直刃。匂口は締り心に柔らかく、刃縁が明るく冴える。指表は総体に丁子風の坂足が頻りに所作する。指裏は元に丁子の足がやや弱く現れ、それより先は金筋風の線が長く所作する。
鋩子
直調に入り中丸となってやや浅く返る。
備州長舩盛光 応永三十二年八月日

本脇指の特徴は、本造脇指という造にあります。本脇指は室町初期の応永年紀、つまり本造脇指が現れ始めた頃の一振ということであり、日本刀の変遷をみる上でも極めて希少な一振と言えます。磨上げて脇指にしたのではありません。最初からこの造、中心も生です。おまけに極めて健全な状態も見所の一つで、新刀と遜色ない健全度。肉置しかり、中心の鑢目もしっかりと残り、色合も含め錆状態は申し分ありません。目釘孔だって一つです(これはアピールにはなりませんね)。
もちろん、本脇指の出来そのものもアピールしたい見所です。まずは地肌の詰み具合、杢目が交じった板目がよく詰まれ精美な肌合いを見せています。決して肌立ってはいませんし、細かな地景も楽しませてくれます。そして見事な棒移が鎺元から鮮明に浮き出ています。応永備前ですから当然、棒移です。
それじゃ次は謎めいた刃文のことを少し・・・指表は直刃に坂丁子風の足が頻りに現れています。物打辺りが少し弱めですが、総体に賑やかに働いています。それに対して指裏は、鎺元に丁子風の足が見られるものの、それより上はスッキリとした中直刃であって、足の所作が影を潜めています。よく見ると、代わりに細い金筋風の所作が直刃に寄り添うように伸びているのです。まるで添樋のようで、添え沸といったら変でしょうか(勝手に呼称を作ってはいけません。これはあくまで例えということで・・・)。なぜこのような刃文なのかわかりません。刀剣鑑定家・研究者の中原氏も理由はわからないとのことですが、おそらく意図的なものだろうとの推測です。意図的な所作であれば、あえて児手柏(このてがしわ)の造としたら言い過ぎでしょうか。

このように珍しい見所がいくつかある本脇指ですが、匂口も上出来で刃縁に崩れや叢は皆無で見事に冴え渡っています。作者は応永備前を代表する三光(盛光・康光・師光)と言われる一人、盛光ですから納得の出来です。柔味のある少し締った匂口、元が大模様で先が小模様になる刃文の特徴(本脇指に関しては一部該当)、地肌の鍛、棒樋・連樋の組み合わせや形状など、本阿弥光遜が説いている内容によく合致しています(光遜が褒めていますから、当店もそれに乗っかって本脇指を讃えます)。
ちなみに、本脇指にはかなり目立つ拵がついています。金と黒の縞々、派手です。全く的外れかもしれませんが、エジプトのツタンカーメンが所持していたといったら頷けそうな拵です。小柄と笄は抱茗荷の紋をあしらった上手作の二所物。赤銅地に金色絵(金焼付)を施した江戸中期の上手作がつけられており、なかなか豪華な取り合わせです。おまけに白鞘と拵が一緒に入る刀箱もついています。

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