刀剣本来の価値をお届けします。 HOME
脇指

脇指

丹波守吉道(大坂)

商品番号 : C-056-235

江戸初期 摂津 特別保存刀剣 白鞘

500,000円

刃長:48.2 cm 反:1.2 cm 元幅:3.22 cm 先幅:2.30 cm 重ね:0.72 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
小板目よく詰み無地風の精美な肌を見せ、総体に流れ心。鎬地・棟寄りは詰んだ柾目。
刃文
長めの京焼出に始まり、焼幅の広い弯乱となり太い砂流がかかって、いわゆる簾刃となる。匂口は締り心の匂本位で深く、上半分は小足が頻りに所作する。
鋩子
簾刃が流れ込んで三品風に弯れ、小丸となって深く返る。
丹波守吉道(大坂)

反がやや深めで寛文新刀というよりは、その前の寛永頃の姿をしています。身幅も広くしっかりとした造は、かなり健全さを保っているようです。地肌は小板目を詰んで無地風に見えますが、総体に流れ心で、新刀特伝に見られる精美な肌合いを見せます。
その地肌に焼いた刃文は簾刃。本脇差の最大の見所ともいえる所作です。太めの金筋・砂流が二重三重に織りなす風景に目が行くのは必然の魅力でしょうね。簾刃というと、かなり恣意的で絵画的な形状を思い浮かべます・・・途中途中で開いた五の目で区切られ、それが連続しているパターンを連想してしまいます。本脇差は、そこがちょっと異なる展開を見せています。長めの大坂焼出に始まり、その先からは太めの砂流が絡んで抑揚のある簾刃が広がり、物打から先にかけて最も激しい重なりを構成しています。途中に区切りがありません。一連、繋がっています。それだけかと思いきや、匂口を光にかざして見れば小足が頻りに所作し、また違った光景が目に映ります。匂口は締って刃縁が冴え、叢沸はありません。上出来です。刃中に沸崩がなく寂しいと評する方もいるようですが、なんのその、豊富な小足と微塵な小沸が砂流に絡み賑やかです。その展開は鋩子にまで波及し、簾刃の本刃がそのまま鋩子へと続き、三品風の弯となって深く返っています。少しえぐれて頭が小丸になった形は地蔵風の鋩子といっていいかもしれません。

本脇差の作者は丹波守吉道。俗にいう京丹波の次男で、大坂丹波の初代です。親の京丹波が始めたとする簾刃を家伝そのままに引き継いだわけですが、銘以外は見分けがつかないほど似ている気がします。後代になればより絵画的になり、区切られた簾刃が連続する刃文が多くなり、表裏の形状も揃い気味なります。そういう意味では、本脇差は表裏揃っているとはいえず、なおかつ区切られパターン化した簾刃というよりは激しい二重刃・三重刃の様を呈した簾刃です。見せる刀と戦う刀を併せ持ったような印象は、この時代の刀の変遷を見ているようです。まあ、簾刃の形状は、それぞれに形状があり、好みもあるので評価すべき所作ではありませんが、本脇差の匂口の出来は褒めたいと思います。(当店がそう感じているだけかもしれませんが・・・)

ページトップ