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脇指

脇指

備中守藤原清宣 於美濃関以南蛮鉄作之

商品番号 : C-057-U-237

江戸前期 美濃 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:54.2 cm 反:1.5 cm 元幅:3.24 cm 先幅:2.30 cm 重ね:0.82 cm 目釘孔:2つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は勝手下。
地肌
板目に小板目が交じり、よく詰んで杢目も出る。鎬地・棟寄りは柾目になる。
刃文
焼幅やや狭く、物打までは少し乱れ心の中直刃、その上は緩い弯乱にり、所々に喰違刃があらわれる。匂口は小沸出来でやや締まり心。ほつれ気味に小沸が絡み、小足が頻りに所作する。
鋩子
直調に入り、金筋・砂流の所作を伴って、掃掛風になる。返は浅い。
備中守藤原清宣 於美濃関以南蛮鉄作之

江戸期に入り、各地へ散らばる美濃刀工にあって関の地にとどまり作刀を続けた一人である備中守清宣。美濃関七流・徳永派で父は初代・近江守清宣です。・・・本阿弥光遜は「日本刀の掟と特徴」の中で、新刀期の美濃刀工を「・・・先祖の作風ある刀匠も挙げて説くべき事柄も無く、古刀期の美濃伝の作風を踏襲したに過ぎない。・・・」と作域を載せることもなく、あっさりと切り捨てています。本脇差もそうなのでしょうか? その前に、本脇差に刻られた「於美濃関以南蛮鉄作之」の文字が気になります。美濃にもあったのですね、南蛮鉄が。まあ、越前の康継にあったのですから、美濃には無いとは言えませんが、当時、南蛮鉄を入手できたということは、清宣もそれなりの刀工だったということでしょう。ちなみに同じ刻銘で五の目乱の作が同工にあるようですので、本脇差はその一振ということになります。その貴重な南蛮鉄で鍛えた本脇差、では見てみましょう。

反はややありますが、元先に少し差のある中切先、重は厚めでかなりガッシリとした印象です。総体に寛文新刀の姿と言って良いかと思います。状態は踏張および切先の松葉角も張って極めて健全です。地肌は、板目をよく詰んで小板目に見える個所もあり、それに杢目が交じります。この杢目が交じるあたりは美濃らしいかもしれませんね。総体に流れ心ですが肌立っているわけではなく、よく詰んで綺麗な地肌をしています。もちろん、美濃ですから鎬地は柾目ではっきりと見てとれます(ただ、新刀の鎬地・棟寄りは柾目になるの一般的で、美濃だからというわけではありません)。その地肌に焼かれた刃文は中直刃に小弯。単純そうに見えて匂口の様相は働きが豊富です。小沸出来でほつれ気味の匂口に小足が仕切りに所作します。さらに小規模な喰違刃が至る所に現れて、なかなか見所が豊富です。焼幅はやや狭めですが、物打から先が弯になり、二重刃を伴った鋩子に繋がります。ユニークです。そして表裏も揃った形状・・・まさに美濃風新刀特伝といってよい作域です。この喰違刃風の所作を美濃らしいととるかどうかは愚問でしょう。(本阿弥光遜が、このへんまで突っ込んで取り上げてくれていたらよかったのですが、なにぶん「日本刀の掟と特徴」は新刀と新々刀の解説には力を入れなかったようなので仕方ありません。)ただ、新刀特伝らしからぬ所作を敢えてあげるなら焼幅ぐらいで、少し狭めの焼幅がちょっと垢抜けない感じもします。逆に言えば、そこが魅力の一つでもあるのですが、皆さんはどう感じるでしょうか。あ、ちなみに、美濃にありがちな白気移は本脇差には出ていません(と思われます)。

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