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脇指 “うもれし”一振

脇指

賀州住藤原長次

商品番号 : C-058-U-231

江戸前期 加賀 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:50.9 cm 反:1.0 cm 元幅:2.96 cm 先幅:2.23 cm 重ね:0.60 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は切。
地肌
板目肌に杢目交じり、やや肌立って細かな地景となる。刃寄りは柾心に流れて、鎬地は柾目になる。
刃文
焼幅広く、沸本位の弯乱。深い匂口は柔らかくふっくらと広がり、ほつれ気味に小足が出て、肌目に沿って金筋が絡む。
鋩子
直調に入り、僅かに掃きかけて小丸となり、やや浅く返る。
賀州住藤原長次

板目肌に杢目が交じって肌立った地肌、よくザングリとした肌とか言いますが本脇差の肌合いはこのような肌を指すのかもしれません。前方ではなく上からの灯りをかざすと、地肌がよく確認できます。・・・やや大肌の板目が浮かび上がり、杢目も交じってはっきりと模様を描いています。流れて柾目になる領域もよくわかり、地肌の鍛がよくわかる見本のようです。こうしてみると、刃文もいろいろと見えてきます。匂口に絡んだ金筋をよく見れば、この肌目に沿って光る様が見てとれ、地肌に乗る刃文の所作が伝わってきます。
本脇差の刃文はゆったりとした弯、4つの山をバランスよく描いています。沸出来の匂口はかなりの幅広で、柔らかく締った感じは全然ありません。線ではなく砂を撒いたように沸が広がり、肌目に沿って刃縁がほつれて結構複雑な景色をしています。二重刃風の所作に加え、沸崩もあれば太めの小足も出ていますが叢沸もあるようです。刃文の形と刃縁の崩れを無視すれば、親国貞の匂口に似ています。そしてはっきりとは言えませんが、移らしい所作も出ています。普通はこれを、淡くとか、白けとか表現するのでしょうが、ここではそれらしい所作もあるかもしれない・・・とお茶を濁しておきます。

こんな掴み所のないような本脇差ですが、地肌も含めていろんな所作を確認できるサンプルのような一振。初めて刀を持つ方にとっては、良い教材と言えるかもしれません。決して上出来の作とはいえませんが、深い匂口は必見です。そして鍛の肌目もまた、見所の一つと言えるでしょう。
作者の長次は加賀の刀工というぐらいで、詳細な情報があまりありません。初・二代があるようですが、どちらの作なのか判別できません。鑢目は切と筋違の二つが見られますが、それがどちらなのか? 姿からは寛永か元禄頃の形状に近く、初代は承応頃、二代は貞享頃の刀工なので決定打がありません。この初・二代を問わないとすれば、地肌の鍛からして関の系統ではないかと思われます。越前の加賀ですから当然といえば当然ですが・・・。

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