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脇指

脇指

肥州河内大掾藤原正廣

商品番号 : C-060-224

江戸中期 肥前 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:54.8 cm 反:1.7 cm 元幅:3.16 cm 先幅:2.35 cm 重ね:0.82 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
板目に小板目が交じり、よく詰んで整った肌になる。鎬地は柾心に流れる。
刃文
焼幅頃合いに、小乱に小五の目乱が交じる。匂口は小沸出来で、刃寄りが沸付いてふっくらと帯状に拡がり、細かな匂崩が所作する。二重刃風の金筋・砂流が現れる。
鋩子
直調に入り、先が尖り気味となってやや深く返る。
肥州河内大掾藤原正廣

帯状に連なる小乱の匂口は、肥前刀の本家本元である近江大掾忠広を思わせます。ただ、刃寄りに向かって広がる小沸はふっくらとして柔らかく初・二代の正廣そっくりですが、縦横無尽な積乱雲というより、たなびく雲のごとく整然としています。所々にある小さな匂崩と二重刃風の砂流は、巷で言う働が多いというのでしょうか、見所の一つになっているようです。総体に本家肥前刀の掟の特徴に、脇肥前の自由奔放な遊びが入り混じったような匂口は、ある意味、時代を感じさせる光景ともいえます。
姿は反深く、元先に差がなく切先も延び心、まさに元禄頃の刀姿をしています。本脇指の作者は河内大掾正廣・・・初代ではなく四代・正廣です。これでこの姿に納得がいきます。そして焼かれた刃文の様相もなるほど・・・江戸前期から中期になり、脇肥前の正廣が真面目に作ると、本家の掟を意識しながら自前のおおらかさが色濃く出た刃文といえなくもないでしょう。時間と共にそれぞれの特徴が融合していくのは必然なのかもしれません。

四代・正廣と聞いて、なんだ四代かよ!とそっぽを向くのはいけません。あからさまに名前だけで刀の良し悪しを判断しているようなものです。本脇差の地金、綺麗です。板目を基調に小板目が交ざりよく詰んで整った肌合いを見せています。無地風の小糠肌ではありません。初代・武蔵大掾忠広に似た肌といって良いでしょう。明るく澄んだ肌合いもさることながら、鎬地もよく積んで綺麗です。中心の肉置もふっくらとして、棟には小肉もついて掌にフィットする感覚。丁寧な入魂作といえるかもしれません。ここまでみて、悪いところが見受けられない本脇差ですが、これはあくまで当店の評価。姿や刃文、そして作者も好みがありますので、気なる方はぜひお手にとって経眼してください。どれどれ、本当かよと興味本位で見ていただくだけでも幸いです。「四代」という肩書きが無意味な冠だと感じていただけるかもしれませんね。

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