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脇指

脇指

美濃介直胤(花押) 七十五翁 嘉永五年二月日

商品番号 : C-062-251

江戸後期 武蔵 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:37.8 cm 反:0.6 cm 元幅:3.53 cm 先幅:2.50 cm 重ね:0.65 cm 目釘孔:1つ

体配
平造、三つ棟、生中心、鑢目は化粧に筋違。表裏に刀樋を区下で掻流。
地肌
板目に杢目交じり、良く詰んで総体に精美な肌となり刃寄は流れ心。地景が明瞭に現れる。
刃文
焼幅頃合いに小沸本位の五の目乱。匂口は柔らかく深く所作し、丁子風の足が入り、肌目に絡んで砂流、金筋、稲妻がいたるところに所作する。
鋩子
小模様の五の目がそのまま入り、先は尖心の小丸となって深く返る。
美濃介直胤(花押) 七十五翁 嘉永五年二月日

板目といより大板目の鍛えに杢目が交じって、いかにも肌物の体をなす本脇指。太く長い金筋、稲妻の類が肌目に流れて刀身全体に広がります。思わず一筋一筋の複雑な線を目で追ってしまいます。大胆かつ繊細な文様のような地肌に惹かれ見入ってしまう・・・直胤の遊び心にまんまと踊らされているのかもしれません。冷静に見れば、その鍛の様がよくわかり、絡み合う鉄の表情を楽しむことも研究することもできるのではと思ってしまいます。そして肌立ち気味に見えて良く詰んだ精良な肌合いは、まさにザングリとした肌。本阿弥光遜も著書の中で、直胤の小脇指の鍛肌に関して、堀川一派の出羽大掾国路に似ていると書いています。ただ、大模様の地景が現る現れないの違いはありますが。
気になるのは移状の所作で、指表はかなり明瞭に出ています。果たしてこの所作は移なのか? それとも湯走の類なのか・・・長く帯状になっていることからすると移だと思うのですが断言できません。それでも、直胤は水心子の一門で備前伝はお手のもの、なので強引にこの所作は移ということでよろしいでしょうか?

刃文は腰刃風の焼から始まり、不揃いの五の目乱が小模様に鋩子まで続いています。匂口はふわっと柔らかく広がり、五の目の谷から太めの足が出て、そこに砂流・金筋が、特に金筋が長めに貫き、穏やかな雲の中に閃く線となって輝きます。こう書くとかっこいいのですが、五の目乱に激しい金筋が所作するということです。 姿は延文貞治型の小脇指、やや身幅が広くフクラもあり直胤のセンスを感じます。いいですね、垢抜けています(そう思うのは当店だけかもしれませんのご注意を)。本脇指が作られたのは直胤が75歳の時。美濃介と刻ってあることからも直胤晩年の作。老いてなお野心的な試みが本脇指を通して垣間見えるようです。

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