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脇指

脇指

近江守藤原清宣

商品番号 : C-063-258

江戸初期 美濃 特別保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:43.3 cm 反:1.1 cm 元幅:3.23 cm 先幅:2.42 cm 重ね:0.72 cm 目釘孔:2つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は勝手下。表裏に棒樋に添樋を掻通。
地肌
小板目肌良く詰んで総体に精美な肌となり、刃寄は柾心に流れる。
刃文
焼幅広く、沸出来の五の目丁子乱。刃中沸づき、肌目に沿った砂流・金筋がかかり、匂崩が頻りに所作する。尖刃も交じり、飛焼も出る。
鋩子
本刃が乱れ込み、掃き掛けて一枚風となり、浅く返る。
近江守藤原清宣

元から先まで激しい刃文が広がります。五の目に丁子が交じり合い広い焼幅も加わって脈絡ないようにも思えますが、焼頭の稜線はそれほどの高低差はなく、帯状の匂口に近い印象もあります。本脇指は肥前刀ではありませんが、播磨大掾忠国の刃文に似ています。しかし、沸出来の匂口は雲のような柔らかさではなく、コントラストが強く沸が明瞭に現れ、それを刷毛で描いたように砂流・金筋がかかります。おまけに五の目丁子といっても、尖刃あり、拳丁子あり、蛙子風もあり一様ではなく、頻りに出ている匂崩はもちろん飛焼や湯走も見えます。ここまでくるともはや相州伝?(勿論、皆焼ではありません。ま、激しいばかりが相州伝ではありませんのでご注意を。)
この光景は、おそらく研によるもので、本脇指は差込研のようですから匂口がより強調されて見えているのでしょう。

姿は元先に差がなく反はやや深め、切先はやや延び心。寛文新刀の姿ではなく寛永頃に近く、ん〜強いて言えば室町末期の末古刀に似ています。それもそのはず、本脇指の作者は初代・近江守藤原清宣。(二代は本サイトでも紹介していますので、姿の違いを比較してみるのもよいかと・・・) 江戸初期とは言え慶長・元和の時代ですから古刀新刀の区別は極めて曖昧です。鋩子だって本脇指は本刃が乱れ込んでいます。刃文を気にせず姿だけ見れば、末古刀に見間違える方が続出かもしれません。美濃が備前に取って代わったこの時期、それまでの作域を踏襲した結果が、本作のような姿で残されているのだと思います。
ちなみに本脇指の樋は、生樋です。後から刀身を削った後樋ではなく最初から樋を入れて鍛えたものです。この時代の生樋ですからかなりの丁寧作とも言えます(新々刀になると生樋もちらほら見受けられます)。おまけにこの生樋、表裏で逆に掻いています。指表は棒樋が棟側、添樋を刃側に。指裏は棟側に添樋、その下に棒樋。何か意図があったのでしょうか。単なる遊び、それとも独創性を出したものなのか、今となっては清宣しかわからないことですが・・・。

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