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脇指 “うもれし”一振

脇指

源盛高

商品番号 : C-067-U-269

室町後期 筑前 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:43.2 cm 反:1.40 cm 重ね:0.60 cm 元幅:2.98 cm 先幅:2.12 cm 重さ:380 g 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は切。
地肌
板目肌に杢目交じり、刃寄り、鎬地は柾目になる。やや肌立ち、肌目に沿って地形が現れ、移が伴う。
刃文
焼幅狭く、細直刃に喰違刃風の所作が交じる。匂口は締まり心に、刃寄りがほつれ気味に所作する。
鋩子
直調に入り、そのまま弧を描いて焼詰風となる。
源盛高

本脇指は反が深く元先に差があり、刃長は一尺四寸三分。鎌倉期の太刀をそのまま短くしたような体配は、末古刀の本造脇指によくみられる姿で、見るからに古風です。狭い焼幅と利刀造の鎬の形状も、その風合いに輪をかけて補います。どこかマニアックな印象がする本作・・・中心尻は金剛兵衛一派特有の卒塔婆形。握った感じも掌にふんわりとフィットし、角が立ったような痛みというか粗雑さがなく、俗銘がないからと言って数物だとは片付けられない一振です。確かに金剛兵衛一派の作には、鍛疵や割れなど肌の状態が思わしくないものが目立つ感じもします(もちろん、綺麗に肌を詰んだ極上の上出来作もちゃんとあります)。本作も中程の平地にちょっと目につく鍛疵と、所々に小さな疵が見られます。しかしどれもが肌目に沿ったもので、そこまで神経質になるほどのものではないと(当店は)思います。逆に、肌目の趣が見所となっているのが魅力でもある本作。刃先側はゆらゆらと流れるような柾目が目を惹きつけます。その地肌に乗った細直刃は、ちょこちょこと喰違刃風の所作が交じって金剛兵衛らしい匂口となり、叢崩のない冴えた刃縁が好印象。そして平地の杢目が交じった板目肌と共に明瞭な地景となって、まさに樹のような地肌の様を楽しませてくれます。

本作は金剛兵衛一派である盛高の作。登録証には盛高の二字しか記載されていませんが、ちょうど目釘孔が「源」の字の真上に開けられているため、記載しなかったと思われます。しかしちゃんと「源」だと認識はできます。時代は室町最末期、ちょうど新古境といわれる頃でしょう。なので状態は良い方だと思われますが、鋩子が焼詰風になっていることから切先はやや研減があると思われます(一枚風の鋩子のようにも見えるのですが・・・視力が衰えたのか、それとも鑑る目がないのか・・・どっちもかも)。それでも中心を見れば、鎺元の重ねの減りもわずか、中心の踏張もよく残っており健全です。
そんなこんなで色々述べましたが、末古刀の中でも最末期で焼幅の狭い細直刃、利刀造に深い反・・・これだけでも実戦に即した一振だったと言えるのではないかと思います。そして京から遠く離れた地方作ということで、マニアックな愛好家の目に止まれば幸いです。

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