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脇指 “うもれし”一振

脇指

紀伊國長廣

商品番号 : C-068-U-270

江戸前期 紀伊 日本刀剣保存会鑑定書 白鞘

売約済

刃長:50.9 cm 反:1.80 cm 重ね:0.72 cm 元幅:3.08 cm 先幅:2.12 cm 重さ:625 g 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は浅い筋違。
地肌
小板目肌に板目交じり、よく詰んで鎬地は柾目になる。鎺元上には地形が現れる。
刃文
焼幅の広い匂出来の丁子乱。匂口はやや締まり心にふっくらとし、所々匂崩が働き刃中に小沸がつく。
鋩子
直調に入り小丸となり、少し掃き掛けてやや浅く返る。
紀伊國長廣

元から先まで重ねが厚くしっかりとした体配の本作。身幅は頃合いで元先の差がややある中切先、反も少し深め、寛文新刀の姿に近い気がしますが、元禄頃の姿とは少し違います。曖昧な姿の評はさておき、本脇指の刃文はちょっと褒めたくなる出来。まずは広い焼幅。焼幅は身幅の半分くらいですが、鎬幅が広いせいもあり見た目以上に焼きが広く見えます。刃文は焼出風の所作を伴った小丁子乱が静かに始まり高低差のある大丁子乱へと続き、最終の鋩子は新刀らしく直調となります。
この丁子の様は意外に激しく、特に指表側は少し坂丁子風に展開しているのに加え、匂崩(葉)も所々に現れ表裏一様ではありません。自然な所作といえばそれまでですが、どこかズブ焼(裸焼)による作を臭わせるのですが気のせいでしょうか。単に本脇指の作者が紀州石堂系の刀工だろうという安易な連想からそう思っただけで、なんの確証もありません・・・。

作者は紀伊國長廣、銘鑑洩の刀工です。長廣という銘と中心の銘振から推測するに、備中守康広の系統だと思われるのですが、これも確証はありません。他には紀州住氏広という刀工もいますが、どちらにせよ石堂系の刀工には違いなく、備前伝の丁子という共通項もあり素性は紀州石堂一派の刀工ということで無理やり終了です(冷や汗が出ますね)。これを前提に話をすれば、名もない刀工の作ながら褒められるべき作がこうして現存するのですから、長廣の存在を認めないわけにはいきません。仮に本作がたまたま上出来だったとしてもです。
少し気になるのは移で、石堂系なら移が出るじゃないかと言われそうですが、本脇指に明確な移は確認できません。焼幅が鎬筋まで迫っているせいか、思うように見つけられないのです。もしかして出ているのかも・・・とはいえ、紀州石堂の作はどれも移が出ている訳ではありません。私見ですが、他の石堂系の方が強く出ており、紀州石堂は言われるほどでもない気がします。(だからと言って出来に影響するわけでもないので、ご留意を。)
因みに本作には保存会の鑑定書がついています。日刀保の鑑定書もご要望であれば、大いなるご協力をお約束いたします。審査結果が万が一の場合は、当然当店が出戻りを保証いたします。(随分と営業的な提案をお許しください。)

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