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脇指
丹後守藤原直道
商品番号 : C-070-288
江戸前期 摂津 保存刀剣 白鞘
300,000円
刃長:40.3 cm 反:1.40 cm 重ね:0.75 cm 元幅:3.17 cm 先幅:2.33 cm 重さ:457 g 目釘孔:1つ
- 体配
- 本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
- 地肌
- 小板目肌よく詰んで無地風となり精美な肌合いとなる。鎬地はよく詰んだ柾目になる。
- 刃文
- 焼幅広く小沸本位の丁子乱に五の目が交じる。匂口は締り心にふっくらとし、尖刃が交じり、匂崩、足には砂流風の所作絡む。
- 鋩子
- 直調に入り小丸となって深く返る。
表裏の刃文が揃っているようでもあり不揃いのようでもあり、裏と表では指裏の方が動きが激しく指表の方はやや大人しめの本脇指。地肌はよく詰んで精美な肌合い(なかなか綺麗です)、そこに丁子乱を焼いています。焼出風の所作から丁子が始まるのですが、元の方には蛙子のような丸味を帯びた谷がある一方、焼頭の方は尖刃風の所作が所々に現れ一様ではありません。匂崩や砂流風の所作も丁子の足に絡んで、勝手気ままに焼きましたと感じてしまうほどです。しかし、かなりアバウトな刃文に思えますが、匂口は上手で叢沸はなく刃縁に荒沸がこぼれてもいません。要の所作はしっかりコントロールされていて総体に上出来です。
何とも捉えどころのない脇指に思えますが、これは時代の特徴を表しているのかもしれません。脇指の定寸からするとかなり短めの一尺三寸強、小脇指と称される姿で、反があり元先の差はあまり感じられません。切先は延び心とはいえ中切先、でもフクラが十分ついていて健全度は高いようです。この姿から時代を絞れば、寛永頃でしょうか。元禄頃の姿に似てなくもありませんが、小脇指というこの長さを考慮すれば寛永頃がやはり妥当な線。もし元禄頃であれば本脇指は特注品の一振ということに・・・ないでしょうね、刃文が気まま過ぎます。
作者は丹後守直道。三品系です。初代は丹波守吉道の子ですから、家伝の簾刃風の所作があるのかといえば、本脇指にその特徴はありません。あえて挙げるとすれば丁子の足に絡んだ砂流風のしょぐらいでしょうか。鋩子も三品風とは言えません。二代は初代とは異なる作風と言われており、匂い口の深い濤瀾刃や直刃を焼くそうです。加えて初代に多いとされる菊紋も二代にはないそうです。これからすると、やはり本脇指は二代の作ということに。でも、時代が少しずれているような・・・初代は寛永二年に丹後守を受領しています。では二代はその後の寛文・延宝頃の刀工? そう考えると、この短い小脇指の姿ではなく、定寸に近い脇指を作るのではないかと思ってしまします。かといって他の所作は二代の特徴が出ています。そういえば、寛永から寛文・延宝頃といえば親国助や親国貞の活躍した時代。彼らの作にも小脇指があったような・・・作風の時代は重複して繋がっていると思えば良い話です(勝手に都合よく解釈しています)。代別などとあまり意識しないで出来そのものを評価すべきですよね、みなさん。と、言いながら、みなさんは初代・二代どっちだと思います・・・