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脇指

脇指

和泉守藤原国貞

商品番号 : C-073-294

江戸初期 摂津 特別保存刀剣 白鞘・拵付

売約済

刃長:53.03 cm 反:1.36 cm 重ね:0.60 cm 元幅:2.90 cm 先幅:1.87 cm 重さ:450 g 目釘孔:2つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
小板目肌に杢目交じり、よく詰みやや肌立ち、流れ心になる。鎬地は柾目。
刃文
焼幅広く、沸本位の五の目丁子乱。匂口はふっくらとし、肌目に沿って丁子の足が解れ砂流風のなる個所がある。
鋩子
直調に入り少し乱れて小丸となり、やや浅めに返る。
和泉守藤原国貞

一概に五の目丁子といっても、いろんな形状の五の目が雑多になって構成された本脇指の刃文は、延びる丁子の足も多様で一言では形容しきれない光景が拡がっています。それが親国貞らしい特徴でもあり、誰に似てるわけでもなく、鑑定に窮する面白さがあるのです。逆にいえばとてもわかりやすい刃文をしているともいえます(わかりやすいとは、詭弁でしょうか)。その五の目丁子の構成ですが、鎺元から少し上辺りまでは小五の目が連続し、拳丁子風へと続きます。そして尖刃が交じった中程は沸が厚くつき、砂流や金筋風の所作が絡みます。物打より上は抑揚が激しくなり、匂崩も伴ってかなり賑やかに展開します。表裏揃い気味に、大小の五の目、拳丁子、蛙子丁子、尖刃などが連続そして単独で繋がり、刃取の線も抑揚を繰り返します。しかも匂崩に砂流も所作しながら、丁子の足が太めに深く働き見応えのある光景が広がります。・・・なんか脈絡のない刃文に思えますが、総体的に見ると“深い匂口で刃縁が結構厳つく乱れた激しい五の目丁子”。それが親国貞とくれば、「親国らしいですね」と返答してしまう刃文なのです。(あんた、何を言ってるんだ。訳がわからないよと、お叱りを受けそうな紹介ですが、当店の言葉足らずということでご容赦を。)

親国貞こと和泉守国貞はについては、みなさんの方がよくご存知だと思います。親国助(河内守国助)と並んで大坂新刀の祖であり寛永から寛文頃を代表する刀工の一人です。まあ、井上真改の親としての方が知れ渡っていることには、少し残念な気持ちになりますが、作域は多彩、そして腕は極めて上手です。親国助も同じで、助広は愛好家なら誰でも知っていますが、助広の元をたどれば国助あっての評価、この二人はもっと評価されて然るべき存在なのです。その作域から見れば、親国貞も親国助も戦う刀から見せる刀への変遷期にいたわけで、生き残るために様々な試行錯誤をした結果が今残されている作品であり、そのうちの一振が本作です。そう考えれば、本作の刃文、匂口にみる出来の評価もまた違ってきて当然です・・・本脇指をくまなく眺めれば、真改のあの深く冴えた匂口を本作の中に見いだせるかもしれませんね。
拵は、安信と銘のある素銅磨地の縁頭(松に鷹と小鳥を描き、金・銀・赤銅色絵を施しています)に獅子(金色絵)の目貫を装着した柄前、鐔も四分一地に松に鶴を描いています。鞘は艶消しの黒漆を下地に、金と艶のある黒漆を渦巻模様に施しています。一個所、塗りが剥がれた痕を補修した跡があります。

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