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短刀・槍・その他

平安城住藤原正俊(正俊二字改鏨・下坂)

商品番号 :D-007-169

江戸中期 山城 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:18.2 cm 反り:なし 重ね:0.90 cm けら首:1.1 cm

体配
素槍、平三角造、中心は生で孔一つ。鑢目は浅い勝手下がり、目釘孔の5分上より鏟鋤(せんすき)。裏に棒樋。
地肌
柾目肌良くつんで精美。やや肌立ちごころに鍛に沿った流れるような地景が出る。
刃文
焼幅尋常に、小沸出来の中直刃。やや締まり心のふっくらとした匂口で、真中辺りの焼幅がやや広く表裏共に僅かに湾曲している。
鋩子
直ぐに掃掛けて焼き詰め。
備考
ふっくらと柔らかな刃文、ほつれ気味の中直刃がムラなく一周してきます。匂口は締まり気味に刃縁も冴えて、難しいとされる槍を破綻なく焼き上げています。ちょうど真中辺りの焼幅がわずかに広くなっていて、ゆる〜い弧を描いたような刃文は、直刃として良いのやら、それとも弯とすべきか、単に乱なのか・・・特に問題にすべき点ではないのですが、皆さんならこの刃文の種類をどう区別するのか知りたいものです(そんな細かいこと、何を言っているんだとお叱りを受けそうですが)。地肌は精美な総柾目の鍛、少し弯れ気味に流れて多少肌立っているせいか「肌は柾目ですよ」と視覚的に訴えてきます。この所作、地景として十分に楽しめます。この地肌に上記の刃文が組み合わさり、端正な槍姿となって好印象です。これが大身槍ぐらいの長さであれば、少し間延びした感じになるところですが、本槍は6寸弱、ちょうど頃合いの良いバランスのようです。 作者は、正俊と言いたいところですが、そうではありません。正確な銘は「平安城住藤原下坂」・・・「下坂」を「正俊」に改鏨するという荒技でやってしまったようです。良い出来なのでなんとも残念です。まあ、お粗末なバレバレの改鏨でなによりです、下坂の銘跡が確認できますから。しかし大胆ですね、よりによって越中守正俊に化けさせようとしたのですから・・・この出来なら行けるかも?と考えたのでしょうか。
平安城下坂は越前から京に移り作刀した一派で、槍作りに関してはかなり名の通った一派です。本槍の出来も道理で上手いわけです。しかし、本槍の作者は下坂の誰なのでしょう。そういう意味では厳密にいうと「無銘」になるのでしょうか。無銘は取り扱わない当店の主義に反する?・・・えーー、本槍はお許しください(一応、一派の呼名とはいえ銘は入っていますので)。それよりは、この改鏨を記載して鑑定書を出した日刀保を褒めてあげてください。やるときはやるのですね、少し見直しました。

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