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短刀・槍・その他 “うもれし”一振

短刀

萬歳源継吉作之

商品番号 :D-008-177

江戸後期(幕末) 越中 保存刀剣 白鞘

売約済

刃長:26.9 cm 反り:筍反 重ね:0.85 cm

体配
平造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は切。
地肌
板目良く詰み総体に柾心に流れ、刃寄りは柾目となり精美な肌となる。細かな地景入り淡く移が出る。
刃文
匂口はやや締まり気味、匂出来の中直刃が弯れてほつれ気味に沸づき、途中食い違い刃風の所作が出る。
鋩子
直状に入り小足が所作し、先が尖って深く返る。
備考
俗にいう鎧通しの姿をした本短刀。身幅はやや狭い方ですが重ねは厚くしっかりとした造込(鎧通しとすれば当たり前ですか)。反は内反というより、もはや筍反。棟側が元の方から反り始めて切先まで緩い弧を描いています。本短刀は新々刀ですから、当然、古刀の写と考えるべきかもしれません。刃先のラインも研減ったような少しへこんだ造で、これは本当に研減っているのではなく、最初からこの姿です(たぶん”忠実な“写物ですから)。焼幅が刃先に沿ってほぼ平行に焼かれていることでそれがわかります。(みなさん、全てがそうとは言えませんが、研減った古刀で本短刀のような平行した焼幅を見たら注意してください。) 写とすれば誰でしょうか・・・刃文からは来? 匂口からは粟田口? 地肌からは大和? いやいや、鋩子は康光あたり・・・どれもが該当しているようで弱学の当店にはわかりません。ただ、鋩子の匂口はちょっと見所があります。ほつれ気味にもつれ込んだ匂口は、切先に入って小足が所作し先はロウソク鋩子(火焔風かも)のごとく鋭く尖ってゆらぎます。その先の地肌には小さな杢目があり(指裏)、打ちのけ風の淡い小沸がろうそく鋩子の光輪のごとく浮き出ているのです。意外に珍しい所作です。
本短刀の作者ですが銘鑑洩でしょうか、近い銘は出てくるのですが詳細は不明です。共小柄に同銘の作があるようですが、おそらく富山住継義の一門と思われ、継義には「萬歳源継義作之」という一文字だけ異なった作があります。しかし一介の刀工だとしても、これだけの精美な肌と独創的な鋩子を焼き上げているのですから恐れ入る限りです。

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