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短刀・槍・その他

短刀

兼岩

商品番号 : D-016-S-281

室町後期 美濃 白鞘

250,000円

刃長:18.5 cm 反り:なし 重ね:0.55 cm 目釘孔:2つ(内一つ埋)

体配
平造、三ツ棟、生中心、鑢目は檜垣。指表に梵字を彫る。
地肌
小板目交じりの板目肌を良く詰む。総体に柾心に流れる。淡く白気移が現れる。
刃文
焼き幅やや広く、匂出来の逆がかった腰の開いた五の目乱。締まり心の匂口がM字形の五の目となり交互に連続する。
鋩子
尖り気味に掃きかけて深く返る。
兼岩

俗に言う鎧通の短刀。刃長はほぼ6寸。鎧通は末関や新々刀にもあるとはいえ、そのほとんどが室町後期の備前物に集中していて、本刀は希少な一振と言えます。末備前の鎧通に比べて、本刀は少し重ねが薄く長さも短め(あくまで一般論です)。なので、鎧通というより、女性がしたためた御守刀のイメージです。実際、当時の奥方様が身につけていた一口かもしれません。(私の憶測というより、願望に近い妄想です。)

刃文は少し逆がかった五の目乱に、小さいM字と大きいM字を交互に連ねた独特の刃文に見えますが、どっかで見たような・・・そうか・・・末備前によく見られる蟹の爪(腰の開いた五の目乱に匂崩が交じった刃文)です。本刀には、匂口に絡む匂崩や叢沸がないので、すっきりとした独特の波紋に映るのでしょう。良い意味で刃縁が冴えて匂口の叢もなく上出来です。そこに末関でいう白気移が匂口の頭ではなく谷からの煙込が現れています。この所作は侮れません、中々のものです。「なんだ末関か!」などと軽く見がちな御方にほど経眼してほしい一振だと、当店は評価します。
本刀の作者は兼岩。室町期の永享頃から天正頃まで続く美濃の刀工です。残念ながら代別は極められませんが、刃文から推測すれば永正頃の作と思われます。時代相応に研減ってはいますが、これも五百年という年月を経て大事に継承されてきたことの証。その姿を愛蔵するのもまた一景かと・・・。

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