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短刀・槍・その他 “うもれし”一振

短刀

大兼道作

商品番号 : D-019-U-252

室町末期 美濃 特別貴重刀剣 白鞘

売約済

刃長:28.7 cm 反:0.3 cm 元幅:2.54 cm 先幅:1.90 cm 重ね:0.45 cm 目釘孔:1つ

体配
平造、庵棟、生中心、鑢目は切。刀樋に添樋を表裏に鎺元下深くまで掻流。
地肌
板目肌に大板目が交じって肌立つ。刃寄りは柾心の流れ、白気移が現れる。
刃文
焼幅狭く小模様の小乱に小五の目乱が交じる。匂口は締り心の匂出来、肌目に沿ってほつれ気味に所作し、微塵な小足が出る。
鋩子
刃文が小模様に弯れて小丸となり、浅く返る。
大兼道作

伊賀守金道をはじめとする越後守金道、丹波守吉道、越中守正俊の父であり、四兄弟を引き連れて上京し三品一派を築いた兼道(後に陸奥守を受領)、と著せば結構名の知れた刀工です。その兼道には、上京前の関で作刀していた時、正親町天皇より大の字を賜って兼道から大道と改めた頃に大兼道と刻った作があり、本短刀はその一振ということになります。ただ、数も少なく貴重な一振ですが、作域はともかく健全度は決して褒められた作ではありません。そうです、かなり研減っています。
姿は延文貞治型に類し、切先はそれほど減ってはなく先反も残っていますが、刃方は画像の通りです。刃区は残されていますが、その上から喰い込むように研がれ、そのままフクラへと続いています。ん〜焼刃はまだ残っていますがね・・・刃文は小乱ですが直刃に例えれば、細小乱と言ったところ。鎺元の焼始めなんか刃が駆け出しています。本短刀は室町末期頃の作ですが、一見、鎌倉期の姿を見ているようです・・・健全な末古刀に比べたら随分と激しく働いた老兵と同じで、その活躍ぶりを身を呈して表しているとも言え、あっぱれです。

重もかなり薄いので、これも減った状態かと思えばそうではないようで、研溜の重そして樋の状態から察するに最初から薄手の造だったようです(それでも減っていることには変わりありませんが・・・)。その樋ですが、本短刀の樋は、ちょっと風変わりな形状をしています。刀樋が途中から細くなり、その部分に添樋が彫られていて、刀樋と添樋を合わせた幅が、全体に渡って同じ幅にしているのです。あまり類例のない樋に思えます。
地肌は板目で肌立って、刃寄りは流れ心。俗に言う白気移もたって、さも、通説どおりの末関らしさが出ています。鍛疵も2〜3個所あります。ただこの鍛割れ、健全な時には出ていなかった、あるいは気になるほどのものではなかったと思っています(ちょっと本作をフォローしています)。これも忌み嫌うのではなく、生き抜いた証として愛でる痕かと・・・それに本短刀はまだ現役の身です。

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