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短刀
兼生
商品番号 : D-SD234
室町後期 美濃(岐阜) 特別保存刀剣・特別貴重刀剣 白鞘
385,000円
刃長:27.3 cm 反:1.0 cm 元幅:2.62 cm 先幅:1.80 cm 重ね:0.64 cm 目釘孔:2つ
- 体配
- 平造、庵棟、生中心、鑢目は檜垣。
- 地肌
- 板目に杢目交じり、棟寄りは少し流れ心になる。やや肌立ち心に地景が出て白気移が現れる。
- 刃文
- 匂本位の小五の目乱。匂口はやや締り心でふっくらとし、所々尖刃風の刃が交じり、小足も出て刃中に小沸が微塵に付き、金筋、砂流が現れる。小さな棟焼がある。
- 鋩子
- 表は揺らいだ火炎風、裏は地蔵風となり、深く返って寄る。
兼生(かねなり・かねあり)の短刀です。兼という銘字を使って中心の鑢目は檜垣ですから、言うまでもなく美濃の刀工です。年鑑には大永頃とあります。兼生の作は初見です。刀も含め現存作は聞いたことがありません。珍しいのかどうなのか・・・兼のつく美濃刀工は数多くいますから、売り文句にはならないかもしれませんね。作域はものの見事に末関らしさが現れて、手練れの方なら、ああー末関ですねと即答されそうです。
匂口は締り心の匂出来、刃中には小沸が微塵について、流れ心の地肌に沿ってほつれ気味になり、細かな砂流が出ている個所もあります。指表の鋩子あたりと指裏の鎺元には金筋風の所作も出て、各所に見所が散らばっている感じがします。刃文は小五の目乱と小乱が交ざり合い、表裏の形状は揃っていません。やはり戦国時代ですからね。本短刀も実用の代物だと認識させられます。ちょっと変わっているのは尖刃風の形状で、頭の向きがいわゆる坂(逆)足風に切先方向へなびいていることです。これは何というのでしょうか・・・「坂(逆)尖刃」・・・また誤解を生むような造語を作ってしまいました(勝手をお許しください)。そっちこっちにランダムに向いているのではなく、一様に切先方向を向いているのでユニークですが、見所と言えるかどうか。まあ、これも末関らしいといえばそうなのかもしれません。らしいといえば、もう一つ。白気移がきちっと出ています。しかし何で白気移と俗称するのでしょうか? 移はみな白く見えるはずなのですが、備前物も含め、美濃以外の作に白気移とは表現しませんよね。それとも使われているのでしょうか(当店の勘違いならお許しください)。美濃物にだけ白気移とするなら、それは褒めているのか蔑んでいるのか、見方にもよりますが区分けしているのは確かです。この辺にツッコミを入れると炎上しそうなので、この辺で終わりにしましょう。他にも地肌、風合い、中心仕立など、末関らしさがてんこ盛りの本短刀。在銘の末古刀ですから、評価も含めて貴重な一振なのです。